2010年11月 記事一覧

*この物語はフィクションであり、物語に登場する人物・団体等
 は全て架空のものであります。

第23話 日帰り旅行ということ ②

  ―― 品川プリンスホテル アクアミュージアム ――

  「はーい、皆様、到着しましたよー」
  「おうっしー、着いたかー、水族館に」
  「はーい、室井さん。ええと、車椅子の方は後ろからリフトで降りていただきます。
   中村さん、誘導をお願いしますね」
  「はーい主任。では、レデイファーストで、留守さんからどうぞ」
   はい、お願いします。
  「続いて、室井さーん」
  「おう!頼むぞー」
  「はい、では次の方、どうぞ」
  「歩行の方は、こちらから降りてください。長宗我部さん、どうぞ」
  「すみません、それでは」
  「米田さん、どうぞ」
  「はい、どうも」
  「紅さん、どうぞ」
  「失礼して」
  「はい、では、皆様、降りましたね。では、こちらへお集まりくださーい。はい、
   それでは、ここから先は水族館になってます。自由行動ですが、他のお客さんも
   いますので、職員は注意してまわってくださいね。11時半にまたここへ戻って
   ください。そしたらご昼食の場所に移動します。食べ終わりましたら、またここ
  に戻ります。イルカのショーが始まりますから。いいですか、みなさーん」

  「はーい」
  「それでは、中へ入りましょう!」
   シュッシュッシュッ。
  「おお、どけどけ」
  「室井さん、気をつけて行ってくださいね、中村さん、留守さんと室井さんをお願い
   しますね」
  「はい。留守さん、行きましょうか」
 
  はい。キーコキーコキーコ。
  「君恋し…」
  「え?」
  「米田さんに、一つ歌を詠もうと思いまして」
  「はあ…」
  「君恋し、エイの尾ひれが…」

  「あ、紅さん、あれはサメですね、すごいですねー」
  「ええ、米田さん」
  「君を刺し、私の想いも…」
  「うわー、大きなエビだこと」

  「伊勢エビと違いますか」
  「はかりしれないほど…」

  「あ、あそこにペンギンがいますわね、紅さん、宜しかったら、一緒に見に
  行きませんか」
  「ワシでよろしければ」
  「………」
  「ええ、是非」
  「では、米田さん、先にどうぞ」
  「あら、有難う、紅さん」
  「………」
  「長宗我部さん、どうしました、楽しんでますか?」
  「あ、主任さん、はあ、まあ…」
  「歌ができましたか、長宗我部さんのことだから、また歌を詠んだのでしょ?」
  「ええ、米田さんのために作ったのですがね…」
  「へー、素敵ですわね。さぞ、米田さんも喜んだでしょ」
  「いえ…私にかまわず、紅さんと行ってしまいました…ペンギン見に」
  「あら…」
  「女心は分からんですな…」
  「はあ…ちなみにどんな歌を詠んだんですか?」
  「君恋し エイの尾ひれが君を刺し 私の想いも はかりしれないほど 」
  「………」
  「ダ、ダメだったのでしょうか」
  「い…いえ、と、とても素敵な歌ですわ…はは。あ、留守さん、どうですか、
  楽しんでますか」
   ええ、かわいい魚がいっぱいですね。

  「そうでしょ、結構いるんですよ、水中トンネル通りました?」
   はい、あそこはいいですね。面白かったです。
  「中村さん、室井さんは」
  「室井さんは、勝手に行ってしまって、でも、あの大きな声ですから、すぐに何処に
   いるか分かりますから。あははは」
   確かに。
  「中村さん、ちょっと変わってもらっていい?私見てくるから」
  「はい、分かりました。じゃあ、長宗我部さん、留守さんと一緒にまわりましょう」
  「ええ…」
  「元気ないですね、長宗我部さん」
   何かありましたね。
  「実はそのう…米田さんが…紅さんと…」
  「え?」
   紅さんのほうに行ってしまった、ということね。
  「私の歌がいけなかったのでしょうか…」
  「はあ…」
   ていうか、バスの降車の時がいけなかったわね。
  「え?」
  「なに?留守さん?」
   さきに降りたでしょ。あれはまず、米田さんを先に譲って、それから
   あなただったんじゃないの。
  「や、やっぱり、あの歌ですか。そっかー、やっぱりね」
   いや、違いますよ。
  「どんな歌だったんです、長宗我部さん?」
  「ええ。君恋し エイの尾ひれが君を刺し 私の想いも はかりしれないほど 」
  「………」
   ………。
  「この歌でしょうか?」
  「そ、そうですね…はは…留守さん、ど、どう思います?」
   た、たしかに…その歌も…一つの原因かもしれません…
  「る、留守さん」
   え?
  「留守さんのために、一つ歌を作りました」
   舌の根が乾かぬうちに、この男は…。行きましょう、中村さん。
  「君恋し エビの触覚 我に触れ ……」
 さて、私もペンギン見よっと。キーコキーコキーコ。

お見事!

2010年11月8日(月) | こちら在宅福祉部です!

在宅生活を送っている 利用者様の作ったちぎり絵です。
皆様の作品をまとめて展覧会でも開きたいものです!

Writer:中井 紫鶴

段々と寒くなってきましたね。街のイルミネーションが増えてきました。
イルミネーションを見ると、もう冬なんだなぁ~と感じます(^‐^)

Writer:多々井 優里

 

シルバービレッジ西東京の秋の展覧会が始まりました。
ご入居者の皆様と創作レクの時間に作りました。
今年は、「花」をテーマに作りました。
何で作ってあるお花か、わかりますか?
果物を包んである、緩衝材です。
14日まで行っています、皆様ぜひ足をお運び下さいませ!

Writer:渡邊 知子