2011年11月 記事一覧

今日は11月のスペシャルランチでした。
メニューはお赤飯、てんぷらの盛り合わせ
マグロ・サーモン・はまちの刺身、茶碗蒸し、お吸い物・・・
利用者の方も両手を上に挙げて輪を作り「まる」と
話されるほど、美味しく頂きました。

Writer:鈴木 恵介

*この物語はフィクションであり、物語に登場する人物・団体等
 は全て架空のものであります。

となりの芝が青く見える・・・
  近くを捨てて遠くに求める・・

作:なおとっち

第26話 室井さんの外来ということ 

  「……はい、それでは次の方?室井さまー。室井源次郎さまー。お入りください」
  「おう、失礼するぞ」
  「室井源次郎さんですね。どうぞ。はじめまして、医師の小机です。
   ええと、初診になりますね」

  「あたりめーよ。ワシは病院にかかったことなど、一度もないわい」
  「それはそれは」
  「ここに来るんだってよ、嫁が行け行け、て言うから仕方なく来たんじゃ。
   なーにが
   ≪もの忘れ外来≫じゃ。ふん、ワシはボケておらん!」

  「ははは…皆様そう仰います」
  「ぬぁーにが、『皆様そうおっしゃいます』だ?キサマみたいな若造になにがわかる」
  「ははは…、室井さん。私は老人医療はベテランですよ。とくに認知症は私の専門
   分野ですし、ここの院長でもあります。ご安心してください」
  「ベテランだか、ペテン師だか分からんが、さっさとはじめてくれー」
  「んぐぐ…。…そ…そうですね…。では、まず、簡単な質問をいくつかさせて戴き
   ます。思ったまま答えてください」
  「ふん。分かったわい」
  「まず、室井さんは現在お幾つになられますか?」
  「はあ?そんなの保険証で確認しなかったのか?アホかお前は」
  「へ?」
  「受付に保険証を出してあるわい。いちいち聞くな」
  「んぐぐ…。そ、そうですが…」
  「このクリニックは何を確認しとるんじゃ。次!」
  「………」
  「次の質問!」
  「んぐぐ…は、ははは。わ、分かりました。では、気をとりなおして…。
   今日は何年何月何日何曜日になりますか?」

  「大正100年11月4日、金曜日じゃな」
  「へ?」
  「なんだ?」
  「た、大正…ですか…ひゃ、ひゃくねん…」
  「それが何だ。ワシの暦は大正から、はじまっちょる。昭和も平成もないわい。
   今年は大正100年じゃ。あんた、そんなことも知らんのか?」
  「………」
  「次!」
  「ご、ごほほん…。では、次にうつります。ええ、私たちが今いる所はどこですか?」

  「はあー?」
  「ですから、私たちが今いる所は……」
  「あんたアホか。あんたは何処にいると思ってるんだ?ここはカラオケ教室か?」
  「い、いえ…」
  「あんたがいる所にワシもいる。ワシがいる所にあんたがいる。あんたがいる
   場所がすなわちワシがいる場所になる。それをあんたが分からんでどうする?
   ほんとに、老人医療のベテランか?次!」
  「は、ははは…。で、では、次です…。100から7を引くといくつですか?」
  「なにをー?」
  「で、ですから、100から7を引くといくつになりますか?」
  「ばかにしとるな、こいつ。93じゃ」
  「では、そこから、また7を引くといくつですか?」
  「86。ほんじゃ。そこからさらに7を引いて、それに70を足して、4をかけたら
   いくつじゃ?」
  「へ?」
  「だから、人の話し聞いておるか?86から、7を引いて、それに70を足して、
   さらに4をかけたら、いくつじゃ?」
  「え、ええ…と…86―7=な、ななじゅうく…、なので、ええそれに70を足すと
   …79+70=で、ひゃ、ひゃく…よんじゅうく、149、でそれに…ええと、
   4、4をかけるんですね…ええと…こうなって…で……」
  「596じゃ」
  「は、はあ…」
  「ゴクロウ、だよ。次!」
  「あ、ははは…、ええと、では、私がこれから言う数字を逆から言ってください」
  「またそれか?次!」
  「あ、いえいえ…こ、今度は計算ではなく、数字の……」
  「次!」
  「ああ、はいはい。で、では、今度は違うものですから、よろしくお願いします」
  
「はよーしてくれ。おまえに付き合うのもワシ疲れたわい」
  「ははは…で、では、これから3つの言葉を言いますので、覚えてください。
   あとで、また聞きますので」
  「何で今聞かんのじゃ」
  「ええ…と、これは記憶力になりますので」
  「分かった分かった、はよ、言ってみー」
  「ええと、《 桜 ・ 猫 ・ 電車 》」
  「桜は喰う桜か?」
  「へ?」
  「桜は喰うアレか?桜エビか?」

  「い、いえ、その桜ではありません。い、一般的な、桜です。お花見で見る桜です」
  「猫は?」
  「へ?」
  「生きているものか?それとも招き猫か?それとも眠り猫か?左甚五郎の」

  「生きてます。めちゃめちゃ生きてます。喰いつきますよー、こんなふうに、
   ギャァッーて感じで!」
  「お!」
  「ふふふ、怖かったでしょ、ふふふ。もういいや、もういいぞ、俺は、もういい!」
  「あ、あんた大丈夫か?お、おーい、看護婦さーん」
  「ニャオー!ても言いますよ。甚五郎じゃない!何で甚五郎なんだ!ふふーん。
   生きてる猫に決まってるじゃないか!ギャァッー!」
  「わ、分かったよ。おーい!看護婦さん!ちょっと来てくれー!」
  「ちなみにね、電車!ああ、言うと思ったんだ。はっはっは。これはねー、はしーる

   電車だよ。シュッポシュッポ!て。チンチン電車じゃないよ、ましてや江ノ電でも
   ない!地下鉄でもなければ、ゆりかもめでもない。がーいこくの電車でもない!
   日本!JR!ジェーアールだ!ジュニアじゃないよ、それじゃー子供じゃないか!」
  「おわ!」
  「まーだまだあったんだ。へっへー!これからもっと、もーっと質問があったのにー!
   ぜーんぶ、ぜーんぶお前さんのせいで台無しじゃないか!」
  「わ、悪かったよ、先生。さ、最初からやり直したらどうじゃ、な?協力するから」
  「いいーーんだもーん!そーーんな同情なんか、いらなーいんだもーーん!なーにが、
   大正100年だああああ?なーにが、ゴクロウじゃー?あはははははははははは」
  「わ、分かったよ、な、だからアンタ落ち着いて。な。看護婦さーん!」

「どーせねー、どーせ、ちいさなクリニックですよー、おお、まさしく猫の額だあ!
 ニャオー!ニャニャニャニャ、ニャオーーーン!!」

   
10月29日(土)にハロウィンパーティーが行われました。
かぼちゃのプリンを食べながら、職員の仮装と手品をご覧いただきました。
職員が披露した手品はなかなかでしたね。(一生懸命特訓をしたみたいです・・・)
いつもと違った午後のひと時をお過ごしいただきました。

Writer:風間 香織

模様替え

2011年11月4日(金) | シルバービレッジ八王子

  
10月31日はハロウィンということで
施設の中もハロウィンの飾り付けになりました。
ハロウィンの本来の意味は「聖夜」だそうで
イギリスでは10月31日の夜にかぼちゃの提灯を作ったり
仮装して行列し、秋の収穫を祝い、悪い自然霊や魔女などを
追い出す祭りであったそうです。
日本では馴染みが薄いかもしれませんが
かぼちゃの皮をくりぬいた提灯の絵がかわいらしく
ご覧になったことがある方も大勢いらっしゃるのでは・・・?

Writer:鈴木 恵介

  
先日、新たな試みとしまして、事前に利用者のみなさんに
希望されるメニューを伺って、 昼食時に食堂にいらっしゃった時点で
調理を開始し、熱々のものを召し上がって頂きました。
メニューはカツ丼、親子丼、目玉焼きハンバーグ
豚肉のオイスターソース炒め、鶏唐揚げのチリソース和えの
5品から選んで頂きました。
大変好評でしたので、今後も定期的に実施して参ります。
次回はどんなメニューか・・・
お楽しみに!!!

Writer:鈴木 恵介